home

バイクのこぎ方

 

一般的にトライアスリートはバイクのギアを重たくしてこぐ傾向のあることを指摘されています。

自転車競技のみのロードレーサーの方々の基礎練習はペダリングから始まります。

つまり回転速度重視のこぎ方が基本中の基本です。 もう一度、再認識してみませんか?

自分(湯山)も過去に登り坂での立ちこぎ重視一ヶ月間をやったことがあります。 その時は確かに脚力はつきました。

しかし、基本はギアを早めに軽い方へ落とし、回転速度で登る。 これに尽きます。

はじめから重いギアで踏んでも、後半に足にきてしまい、結局どんどん抜かされるはめになります。

トライアスロンではその後にランがあるわけで、足の余力を充分に残さなくては勝負になりません。

ペダリングは一般的なレベルで一分間に80〜90回転と言われています。 案外早い回転ですよ。

これから、一般的に言われていることを説明してみます。

 

シッティングとダンシング

 

シッティングは基本のポジションです。 サドルに座ってこぐことです。

ペダリングのポイントについては後から説明しますが、まず、腰を入れたフォームが重要で、さらにペダルは真下ではなく、前に押し出すことがコツです。 これは早いペダリングの動作に結びつき、よりパワフルになります。

急な登り坂ではハンドルを手前に引きながら踏み込むこともありますが、その他のほとんどの場合は上半身の力を抜きます。

下半身の力が重要で、上半身はリラックスすることです。 サル(鶴間さん)は登りの名手、彼女からの最重要助言です。

 

ダンシング(立ちこぎ)は登り坂がきつくなり、どうしてもギアが足りない状況や、スピードを殺さないで駆け上がりきれる場合、気持ちの切り替え時、などに使います。

初心者に多いのが前かがみになり、ハンドルの上に覆い被さり、体重をかけている状態。 これではもも前面の大腿筋にすべての力がかかり、すぐに力尽きてしまいます。 ためしに、階段を過度に前かがみで上がってみてください。 すぐに理解できるでしょう。

基本はクランクシャフトの中心に立ち踏み込む。 この時、踏み込みと反対側の足の力を抜くことです。 いわゆる引き足を使うという意見もあります。 ただし、引き足を使う意識を間違うと、つま先立ちで引き抜く動作になり膝から下の筋肉を酷使することもあります。 注意してください。 足首は基本の直角(フラット)を保ちましょう。 

さらにダンシングも回転重視であること、忘れないでください。

 

ペダリングのポイント

 いろいろ言われているので、これで良しというわけではありません。

しかし、以下に説明する「早い初動負荷」は最近の一般的な考え方と思います。

上の図で一般的に初心者に多いペダリングは3時から6時までの真下に踏み込むパターンではないでしょうか。

「早い初動負荷」とは12時から3時までに力を入れ、前に押すようにするわけです。 これですと、さらにパワーが必要な場合は

6時まで踏み込むことができます。 ペダリングの上手な方は初動の位置の意識の違いはあっても、似たように早い位置から力を入れてますね。 是非、探究してください、自分の意識で。

最後に、ペダリングのスピードにまた言及しますが、バイクで抜かされる時、または遅い人を自分が抜く時、その方のペダリングのスピードを見てください。 よ〜くわかりますよ!

 

 

バイクでの呼吸法 (ペダリングのリズム)

 考えたことありますか? マラソンなら2回吸って1回吐くとか・・・いろいろありますよね。

これから説明することは、私(湯山)が大会前日のコース案内&講習会(ロタ島)に参加した時に、松丸真幸プロが言っていたことです。

オリンピックディスタンス(51.5キロ)のバイクは「ぜーぜー、はーはーの世界!」、スピードレースですから理屈なんてありません。

40キロバイクは約1時間10分〜〜〜?(凡人タイム)であっと言う間です。

ところがハーフ(90キロ)、ストロングマン(155キロ)、アイアンマン(180キロ)となると話は違ってきます。

最後のランにはハーフなら21キロ。ストロングマン、アイアンマンならフルマラソン42キロが控えています。

つまりランのための足(力)を残しておかなければなりません。

バイクで普通に無意識でこぐと、皆さんはどんな呼吸法をしていますか? 自然に任せて・・・ですか?

では例として1回吸い、1回吐き出しのパターンを考えましょう。(いわゆる「はーっ、はーっ、はーっ、はーっ」の状況です)

上り坂のきつい時の状況ですね。 この時、おそらくほとんどの方は利き足の踏み込みで息を吐きます。

私は右足踏み込みで 「はーっ!」 です。

さて状況は変わり、平地走行では息も乱れなくなります。 ここで重要なこぎ方のポイントがあります。 それは3拍子のリズムに合わせてこぐのです。 

「とん、とん、はー、とん、とん、はー」で、「はー」の時に踏み込むのです。

つまり3拍子ですから、交互に左右の足で踏み込むことになります。 このリズムによる効用は二つあります。

一つ目の効用。 それは左右の足に均等に力を加えてこぎますから、利き足だけを酷使することなく、ランへの悪影響を防止できます。

二つ目の効用。 平地走行は実に単調であり、「ペダルの回転が重要」といわれても実はアクセントが必要なのです。 3拍子で踏んでみてください。 結構、リズムに乗ってきてスピードが上がりますよ。(マジ、私の体験から)   向かい風には3拍子こぎはさらに有効かと思います。

是非、練習してみてください。

 

立ちこぎ(ダンシング)について

 立ちこぎは上り坂、最も軽いギアでも「ダメだ!」でするだけではありません。 またまた松丸プロの言っていた話になります。

ロングの大会では時間とともに疲労が加わり、次第に消極的なこぎ方になってしまいます。 6時間も同じ姿勢ですから、足意外にも首、肩、腰には相当の負担がかかります。 どうしたら楽に、積極的にこげるのでしょうか・・・?。 それは立ちこぎの有効利用なのです。 

では、立ちこぎを使うそれぞれの状況を考えてみましょう。

急な上り坂のはじめ、坂の頂点手前、少しの上り坂でスピードをころさないため、など様々なシチュエーションで使います。

もうひとつ重要な役割があります。 それは「気持ちの切り替え」に使うのです。

リズムを殺さず、積極的なこぎ方を維持するためです。 つまりレース中のモチベーションの持続のためです。

ロングではいつの間にか単調になってしまう自分の気持ちに、活力(刺激、「カツ!」)を入れるのです。 

同じ姿勢(シッティング)の持続からのリフレッシュを担う意味もありますね。 立ちあがるのですから、腰も伸びます。

単純な話ですが、レース中の闘争心を失わないための重要なポイントではないでしょうか・・・。

 

* 引き足の意識

ペダリングは回転重視ですが、 もう一つ重要なことは踏み込みだけではなく、引き足の意識です。

初心者のペダリングの意識は踏み込むことに集中します。 これだけでは腿前面の筋肉を酷使してしまいます。

引き足は強大な腿裏側のハムスト筋を使います。 勿論、ふくらはぎ(ヒラメ筋)も使われます。

ペダリングのポイントの図で、6時から9時までが引き足になります。

回転動作の連続ですから、人によって何時かの意識は様々です。

これは平地走行(DHポジションを含む)、登り坂、立ちこぎのすべてにその意識が不可欠です。

これをマスターできれば、ペダルの回転速度が速くなり、登り坂も速くなります。

ただし、くれぐれも足首の角度は変えないようにしてください。 ふくらはぎを酷使してしまいます。

かん8もまだまだこの技術の習得にもがいています。 とても奥が深いのです。 (~_~;)

 


 

ランニングのアドバイス

坂の登り方についてよく聞かれることがあります。       

下は私のバイブル書。 その中からちょっと抜粋してみました。

以下の理論は登り坂のテクニックと共通です。

フルマラソンでふくらはぎの攣る人、この走りを覚えると攣らなくなりますよ。

またレース後、毎回下り階段で四苦八苦している人。

参考にしてください。

 金 哲彦(きんてつひこ)著  発行所 株式会社ランナーズ

 


チョコチョコ走りからの脱皮を

 市民ランナーはとかく体の前側の筋肉に頼った走り方をします。特にいつもゆっくりしたペースでばかり走っているランナーは、大腿部の前側の筋肉を重点的に使っているのが特徴です。こうした身体の前側の筋肉に頼った走りは、ストライドが伸びず、ダイナミックさに欠けています。チョコチョコとした走りになりがちなのです。

身体の後ろ側の筋肉を使う走り

 フルマラソンを4時間、5時間といったタイムで走るのであれば、このような走り方でも十分に可能だと思います。しかし、より高い記録を目指すランナーであれば、そのままの走り方でトレーニングを積むのではなく、身体の後ろ側の筋肉を使った走りをマスターするべきです。 お尻の筋肉を中心とした身体の後ろ側の筋肉を使えるようになると、自然にストライドが伸びるようになります。特に無理をするわけではなく、それまでと同じ力で走っているのに、自然とストライドが伸びるのです。そのため、自分の脚が長くなったように感じられます。しかし、ランニングをしているときに身体の後ろの筋肉を使おうとしても、なかなかうまくいきません。

身体の後ろの筋肉を使うための階段トレーニング

 そこで、階段を使ったトレーニングで、身体の後ろの筋肉を使う感覚を身につけるのが効果的です。階段だと、1歩1歩筋肉が大きな力を発揮しなければならないため、どの筋肉を使っているのか自覚しやすいのです。 階段を普通に上ると、大腿部前面の筋肉に大きな負担がかかり、長い階段を上がったときに、その部分だけが疲労してしまった経験のある人は多いでしょう。しかし、上り方を工夫すると、負担のかかり方がまったく違ってきます。 足を踏み出すときに、そちら側に腰をひねり、階段にかけた脚に体重を乗せるようにして、お尻の筋肉を使って階段を上がっていくと、大腿部前面の筋肉はあまり疲れません。お尻の筋肉が使われることで、大腿部前面の筋肉の負担が軽くなるのです。 この方法で身体の裏側の筋肉を使う感覚を覚えたら、それを歩きに応用します。階段を上がったときのように、しっかりと腰を入れ、着地したその脚に体重を乗せるようにします。階段を上がったり、歩いたりするときに、普段から身体の後ろを使うようにしていると、当然、その部分の筋肉が刺激され、強化されてきます。また、特に意識しなくても、自然に身体の裏側の筋肉を使えるようになってきます。それによって、かつてはチョコチョコと走っていたランナーでも、走りの中にダイナミックな動きが入ってくるようになり、走りがまったく変わってくるのがわかるでしょう。

身体の後ろの筋肉を使うことは、日常動作でも意識したい。 階段トレーニングは、ダイナミックな走り

につながる有効な手段。 1歩1歩、骨盤を意識して自分の体重を乗せる。


<追記>

 上記の説明では、まだわかりにくいような意見もありました。 では私なりに解説します。 

テーマは登り坂ですが、平地でも同じ理屈です。 さて、この状況では必然的に前傾しているわけです。 坂を走って登っている時、前に出した足は必ず踵から接地しています。 斜度と速度にもよりますが、つま先だけで登るという超越したレベルの話も聞きますが、私たちレベルでは無縁の話。 大ざっぱに言えば、地面にフラットに近い状態で足底全体がつき、後ろに踏み押し出していく(後ろに踏み蹴るという表現もあります)。 すなわち、ケツ筋(大殿筋)に力が入り、さらに太ももの裏側のハムスト筋に力が移っていく意識がとても大切です。 この走法ができると、フルマラソンの後、ハムスト筋にかなりのダルさを感じることでしょう。 さらに「ハムスト筋が攣りそうだ〜」と感じることさえありますよ。 でもマスターした証しです。  ゴーゴー!ヾ(^▽^)ノ     

 


 

重心の位置について (桑井太陽さんの講習会より・・・平成20年4月27日)

 最近、ランニング講習会に行き、勉強になりました。 少し紹介しておきます。 

 歩く、走るときの重心は体格にもよりますが、「みぞおち」あたりにあると考えてください。 走るスピードが増せば、前方への体の傾きは増します。 この時の重心の位置は、前に振り出した大腿部の膝上1/3あたりにあることが理想です(下図1)。 講習会に参加したほとんどの方は重心がこの位置よりも後方にありました。 重心が後方にあると骨盤は後傾して、その結果、膝は曲がり(沈み込み)、次の動作で蹴る時に伸び上がる現象が起きます。 前に進む力を有効に利用するためには、上に伸び上がる動作は無駄な力となります。 よく「前方を見て走れ」といわれてますが、同時に顎も前に出している方が多く、これにより上体が反り重心の後方位が起きます。 下を見るわけではありませんが上目使いくらいに顔を前に傾けることが理想的です。 また「肘は後ろに引け」といわれてますが、過度に引きすぎると同じように上体の反りが起きます。 

 骨盤はフラットな状態に保つことが理想的な走りです。 骨盤の安定は腹筋によって得られます。 すなわち腹横筋、内側・外側腹斜筋の緊張による腹圧によって安定します。 この筋肉は下図2のような運動で意識することができ、強化することができます。 

 推進力は裏側の殿筋、ハムスト筋が一体となって働き、腿の振り上げは前面の大腿筋だけではなく長陽筋も重要な働きをしています。 裏側の殿筋、ハムスト筋を使うことを意識しすぎて上体が立ち、重心が後ろになることも多くみられます。 要注意です。

 以上、「アスレティックトレーナーが提案する効率的で故障しない走り」より紹介しました。

桑井太陽さんのHPはこちらです。 

  図1                         図2 ↑肘を床に付け、腹を浮かせ、腹筋を意識する